地域の方からアスリートまで物理療法機器を幅広く活用
川本整形外科
1970年に川本内科医院として開院。その後1998年から川本整形外科として、神奈川県川崎市の宮前平で地域に根ざした診療を展開。整形外科の診療とリハビリテーションに加え、訪問診療も行っています。主に外傷や急性期の患者様に対して使用される物理療法機器の活用について、リハビリテーション科のみなさまにお伺いしました。
リハビリテーション科では、どのような治療が行われているのでしょうか?
下山田先生理学療法士とアシスタントスタッフが、医師の指示を元に運動療法や物理療法を行っています。リハビリテーションの患者様に加えて、痛みや腫れがある急性期の患者様に対しても物理療法機器を使っています。使用する機器については、骨折、打撲、捻挫など症状に合わせて医師の指示を受けていますが、機器のプログラム設定は、私たち理学療法士が選択しています。
具体的には、どの治療にどんな機器を使用していますか?
下山田先生骨折の場合は、医師がレントゲンで部位を確認した後、超音波骨折治療器を使っています。また、急性期の痛みには、低周波治療器の「MCRモード」を使うことが多いです。慢性の障害は、医師から直接リハビリアシスタントに指示があり、「立体動態波モード」で、ここに当ててくださいと医師から細かくオーダーされることもあります。
渡部先生私は超音波治療器を関節の痛みがある時によく使っていて、非常に効果的で患者様との信頼関係を築くのに役立っています。深部の患部にアプローチしたい時は、徒手より機械の方が確実だと思いますが、もちろん手の方が良い場合もあるので、状態に合わせて使い分けています。急性期の神経系の痛みではない場合や、ぎっくり腰のような腰椎の前にある軟部組織が傷ついている場合に、超音波治療器を使うと早く回復することがあります。
阿達先生私は大学スポーツの試合や合宿に帯同することがあり、試合で怪我した時などに、回復を早めるためポータブル低周波治療器を使っています。また、超音波治療器は再現性が高いので長期合宿の時には、選手が自分で使えるように設定して貸し出すこともあります。
アシスタントスタッフの方は、普段のお仕事の中で気をつけていることはありますか?
佐々木さん患者様は週に2〜3回いらっしゃる方が多くて、痛みの具合についてはその都度聞いています。早い段階で痛みが取れる方もいれば、半年、1年かけて徐々に取れて電気治療を減らしていくという方もいらっしゃいます。痛みの感じ方や治療の進み具合は人それぞれなので、患者様とのコミュニケーションを大切にしています。
春野さん物理療法機器の設定には、患者様ごとに気を遣っています。続けて通院される方が多いので、一人ひとりのプログラム設定に関しては全員が把握しています。調子が悪そうな日は出力を低めに設定するなど、臨機応変に対応することもあります。
患者様と接する中で、物理療法機器の感想を聞くことはありますか?
渡部先生画面に治療イメージが表示※されるのが、患者様に評判いいですね。電気の種類を言われても患者様はあまり分からないと思いますが、視覚的に見ることで実際の効果をさらに実感できるようです。※対応していない機種もございます。
阿達先生 私も超音波治療器を使うことが多いのですが、超音波はあまり体感を伴わないので、深部まで届く様子が視覚化されるのは意外と大事だなと思いました。
下山田先生 患者様によっては、画面に治療イメージが表示される機器で治療してほしいとおっしゃる方もいます。現場の私たちにとっては、終了した時に音が鳴るので助かっています。空き時間を少なく、効率的に患者様への治療を行うことができています。
川本整形外科の強み、リハビリテーション科の強みは、どんなところですか?
阿達先生お子様からご高齢の方まで、あらゆる年齢層の患者様の診察も行っていますが、スポーツ外傷やスポーツ障害に強い先生が多くいることだと思います。大学や企業のスポーツチームのサポートもしていて、多くの方に信頼をいただいています。下山田先生は、開院当初から携わられています。
下山田先生 当時、専門学校生だった私はアスレティックトレーナーになりたかったので、トレーナー活動をしながら入職できるところを探していました。そんな中、学校の先生から開院する直前の当院を紹介していただき、スタッフとして働き始めました。その後、理学療法士とアスレティックトレーナーの兼務のお許しをいただき、そこから企業のバスケットボール部や陸上競技に携わるようになりました。
阿達先生 私も通常の業務に加えて、大学スポーツのサポートをしています。大会前や合宿、遠征など、学生たちの都合に合わせた対応も必要なので大変ですが、やりがいを感じています。
渡部先生スタッフ間のコミュニケーションが取れていることがリハビリテーション科の強みだと思います。様々な痛みなどを抱えた患者様が来られますが、スタッフ同士が状況をよく見ながら臨機応変に対応しています。設備のレイアウトも含めて、風通しの良い環境だと思います。
下山田先生 開院当初からスタッフの人数は増えましたが、連携の良さは変わっていませんね。院長の人柄もありますが、リハビリテーション科のみんながいい雰囲気をつくってくれているおかげだと思います。
リハビリテーション科として、今後の目標はありますか?
下山田先生 痛みを抱えて来られた患者様が、より良い変化を実感できるようにしたいです。良くなるきっかけや、変わったなという兆しを感じてお帰りいただけるよう、常に心がけています。また、地域密着型のクリニックなので、いろいろな症状を抱える患者様が来院されます。全員でより柔軟に対応できるようにしたいと思っています。若いスタッフも増えてきたので、新しい風も取り入れながら、より良い環境をつくっていきたいです。
最後に下山田先生は、ランナー用のポータブル筋電気刺激機器「RUCOE RUN」の開発に監修として携わられていますが、開発時のエピソードはありますか?
下山田先生 開発時、私が携わっていることを伏せて何人かに「RUCOE RUN」を試していただいたのですが、練習場や試合会場に持って行く際に軽くていいねという反応をいただき手応えを感じました。私個人としては、周波数を決める時に多くの方にご協力いただいたことが強く印象に残っています。それまでは経験を頼りにやっていたものが、具体的に精緻化されていく過程は本当に勉強になりました。
発売からしばらく経ちますが、多くのアスリートにご使用いただけているそうで、理学療法士とアスレティックトレーナーとして培ってきたものを注ぎ込んだ甲斐がありました。
PROFILE
下山田 陽子 先生
理学療法士。
1998年の川本整形外科開院当初より勤務し、リハビリテーション室の責任者として、地域医療に携わる傍ら、陸上競技やバスケットボールなどの様々なスポーツ現場でのアスレティックトレーナーとしても活躍している。2004年アテネ五輪 陸上競技代表チーム帯同。2006年世界ジュニア陸上競技選手権大会 代表チーム帯同。
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