医師と理学療法士による物理療法機器の活用事例
六本木整形外科・内科クリニック
整形外科、スポーツリハビリテーションの専門医と、姿勢や動きの観察・改善に精通した理学療法士が、密接に連携しながら治療にあたる六本木整形外科・内科クリニック。患者様のご感想やご要望を丁寧に汲み取り、痛みを取るだけの対症療法ではなく、痛みが生じる原因を追求する根本治療をめざしています。物理療法機器の活用について、前田真吾 院長と後藤駿介 理学療法士にお伺いしました。
六本木という場所にご開業された理由は?
前田院長意外に思われるかもしれませんが、都心には医師が診断して、理学療法士が徒手と物理療法を組み合わせてしっかりと治療を行う整形外科が多くありません。理由のひとつに、都心にはリハビリテーション室をつくれるだけの大きなスペースがないという点があります。まずそこで、都心でも適切な治療やリハビリテーションが受けられる場所をつくる必要があると考えました。また、六本木は場所柄、オフィスワーカーも多く、首都圏の各地から出勤されている方もいらっしゃいます。そのような方が、わざわざ休暇を取得して地元の整形外科に通おうと思っても、ご高齢の患者様が溢れていたりします。そのような状況を見た時に、職場の近くに通える場所があることで、一生懸命に働く人たちの助けになるのではと思い開業しました。
オフィスワーカーに対してどのような指導を行っていますか?
前田院長長時間、座っていることの多いオフィスワーカーには、座り方の指導や姿勢の整え方、セルフストレッチの仕方などを発信しています。若いうちに知識と習慣をつけておけば、将来の大きな手術なども回避できるかもしれません。
クリニックの特徴のひとつに「痛みの根本治療」を掲げていらっしゃいますが、その理由をお聞かせください。
前田院長痛み止めや、湿布を使って痛みが取れたとしても、なぜ痛みが出たのかという原因を突き止めないと根本的な解決にならないと考えるからです。たとえば、座り方が悪い場合は、パソコンの位置や手の使い方から指導をしないと、なかなか根本的な改善にはつながりません。原因をしっかり見極めるために、患者様の話をよく聞いて、診察をして、根本的なところまで遡って治療しています。患者様にも理解していただければ、通院を終えた後もセルフリハビリテーションなどで、痛みが少なく済むということもあります。
理学療法士と連携して治療を行う際に、物理療法機器をどのように使われていますか?
前田院長主にコリやハリが強い患者様や、徒手では届かない深部を治療したいときに使っています。物理療法機器は一人何役もやってくれるので、本当に助かっています。
最近ではWebサイトをご覧になって来られる方も多くいらっしゃるようですが、患者様自身が疾患について調べてきて治療を希望されることもありますか?
前田院長特に都内の患者様は、Webの口コミを参考に来られるので、問診票の希望欄には、治療方法や治療器の名前を具体的に書かれる方もいらっしゃいますね。そういう方のニーズにも、なるべくお応えしたいと思っています。
クリニックでは、どのような物理療法機器をご使用されていますか?
後藤PTPT 電気刺激装置、コンビネーション治療器、圧力波治療器を中心に使用しています。なかでも圧力波治療器は、患者様が効果を感じやすいようです。やや刺激は強いのですが、その後の治療プランをお話しすると、概ね理解していただけます。
圧力波治療器は、どのくらいのペースで治療を施されますか?
後藤PT疾患の内容にもよりますが、おおよそ一週間ごとです。炎症がないもの、例えば筋肉の伸張性に問題がある場合には一日置きに行うなど、強度を分けています。治療後に痛みが出てくるようであれば、時間をあける必要があるので、状況を見ながら行っています。
圧力波治療器を目的に来院される方もいらっしゃるのでしょうか?
後藤PTたとえば足が痛い場合など、症状が出てからWebでお調べになる方は一定数いらっしゃいます。「腱膜炎 治療」などと検索した時に、圧力波治療器にたどり着くようです。
電気刺激装置の治療を希望される方もいらっしゃいますか?
後藤PT見た目も重厚ですし、「電気治療はやったことあるけど、これは何?」と興味を持たれる方もいらっしゃいます。電気刺激装置の立体動態波は、当てている時に、うねりながら筋肉をまんべんなく動かせるのがいいですね。特に肩や首は揉みほぐされる感じもあるので、筋肉が硬い方にも効果的です。それから、治療の時期を選ばない点がいいです。慢性期とか急性期に関わらず、すべてに対応できます。たとえば捻挫の場合、組織の修復を3D MENSで行いながら、徐々に立体動態波へ移行して、筋肉へのアプローチが足りなければEMSと、一連の流れですべてに使用できるのでとても重宝しています。
コンビネーション治療器とは、どのように使い分けていますか?
後藤PT当クリニックでは、超音波の温熱作用を、肩の拘縮など筋肉を緩ませたい場合に使用しています。筋の中で摩擦を起こして、ちょっと温熱を出したいなという時に、超音波を搭載しているコンビネーション治療器は便利ですね。
物理療法機器を患者様によって使い分けることもありますか?
後藤PT高齢の方で電気刺激が怖いとおっしゃる方がいらっしゃいます。そのような方には、感覚的な刺激が強くなく、同等の効果を期待できる超音波を利用しています。一方で若い方や、スポーツをしている方の場合は、ある程度の耐性があるので、圧力波治療器など高エネルギーのものを使うこともあります。物理療法機器は、症状だけでなく、患者様ご本人の感覚、刺激やエネルギーの強弱でも使い分けができると思っています。当クリニックでは、ただ痛いところに当てる対症療法ではなくて、痛みの原因となっているところに根本療法を行っています。物理療法機器は、徒手療法や運動療法のサポート的に使ったり、徒手で介入できないところはメインとして使ったりしています。
PROFILE
前田 真吾 院長
2008年 聖マリアンナ医科大学卒業。聖マリアンナ医科大学病院 整形外科学講座 入局。同病院勤務、横浜スポーツ医科学センターにて研鑽を積む。2018年より東京ひざ関節症クリニック銀座院勤務を経て2020年に六本木整形外科・内科クリニックを開院。整形外科専門医、医学博士。アスリートやワーカーのパフォーマンス向上をモットーに診療を行う。
PROFILE
後藤 駿介 理学療法士
2016年宮崎リハビリテーション学院理学療法学科卒業。卒業後、整形外科クリニックに勤務しながら、大学サッカーチームへのトレーナー帯同も行う。2019年より総合病院に勤務し、幅広い知識と経験を積む。2020年5月より六本木整形外科・内科クリニック リハビリテーション科主任として勤務。小学生時、少年野球全国大会優勝の経歴を持つスポーツマン。
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